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フォルクスワーゲングループジャパン株式会社正規代理店候補地の割り出しにMapInfo® Proを採用。その結果、資料の説得力が増し、意思決定の確からしさも大きく向上。 ディーラー開発という業務ゴルフ、ルポ、ニュービートルなど、スタイルのあるハイクラスカーをラインナップする外資系自動車メーカー フォルクスワーゲングループジャパン株式会社。その重要な業務の一つにディーラー開発があります。この部門は日本における正規販売代理店の出店計画を担当する部門です。すでに242にのぼる店舗展開を進めてきました。これまで、こうした出店計画に関しては県庁所在地や主要都市を中心に立案されてきましたが、その意思決定にそれほど困難を伴うことはありませんでした。しかし、そうした展開が一巡し、既存店が点在する中での新規出店となってくると、店舗どうし商圏がバッティングしないようにする、県庁所在地などの指標に頼らず人口の集中する土地を探し出すなど、考慮する点が多々出てきます。ディーラー開発部は長らく、同部独自のノウハウで新規出店を検討してきましたが、その一方でこれら一連の作業を効率化するツールをずっと探していました。 実績と人で選んだMapInfoSection Manager, Network Development Dept., Dealer Development 二橋和幸氏はMapInfoのことを5年前から知っていたといいます。あるシステムインテグレータが開催したGISセミナーに出席、その有望な将来性をまのあたりにしていました。再びMapInfoの名前が浮上したのは2000年3月です。ディーラー開発部は、当時の同社代表取締役のドイツ人社長へいつものように出店候補地のプレゼンテーションを表計算ソフトウェアと市販の白地図を使って行いました。出店候補地の人口を表として記述し、該当する土地に色鉛筆で色づけしたのですが、これに対し社長は“これではわからない。提案をもっとビジュアルかつ説得力のあるものにしてほしい”とコメントしました。そしてこうもいいました。“この提案では市区郡の行政境界線を商圏としているため1つの商圏内に複数店舗が存在する。可能なら町村レベルまで切り込み、拠点ごと毎に固有の仮想商圏を設定せよ。”と。日本には、現在約12万の町大字があります。その単位で人口密度や繁栄状況を把握して手作業でプレゼンテーション資料を作ることは、事実上不可能でした。いよいよMapInfoのを利用することが検討され始めました。 実際の製品選択に当たっては、公平を期すため、もう一つの地図情報アプリケーションも候補に挙げられました。詳細な機能に関しては、MapInfoの方が優れていた部分もあり、もう一つのソフトウェアの方が優れていた部分もあったそうです。しかし、決定的に違っていたのはその実績でした。比較検討した製品は官公庁での採用が中心で、民間企業にはそれほど導入が進んでいませんでした。 一方、MapInfoは製造業や流通業など産業界での導入例がすでにその時点で豊富に存在しました。セミナーでも業種別の利用事例が展開されていましたたことが思い出されました。そして吟味の結果、MapInfoが選択されたのです。 また、MapInfoには頼りになるサポーターがいました。今回、PCなどハードウェアのサポートは、同社の本社所在地である愛知県豊橋市に営業拠点を持つ大興電子通信株式会社に依頼することになったのですが、大興電子通信はMapInfoに精通したシステムインテグレータとして、パートナーである株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ(以下、富士通SSL)を紹介します。富士通SSLの営業チームは全面バックアップを約束しました。フォルクスワーゲングループ ジャパン担当となった同社Webソリューション事業部 GIS・ロジスティクス部 衛藤誓氏の対応も誠実そのものであったため、ディーラー開発部は迷うことなくMapInfoを選択しました。 「MapInfoを取りまく“人”で選んだということはありますね」 導入時の担当者二橋氏は製品選定の経緯をこのように語ります。 MapInfoを利用しての資料作成MapInfo製品で出店候補地の検討に入ったのは、2000年7月のこと。具体的には地理の視覚化を実現するMapInfo Professionalを利用して、東京都の既存店舗の売上げ実績分析および新規出店検討からスタートしました。図版は一連の作業の中で作成した資料の一部です。図1は、フォルクスワーゲンを含め、主要輸入車メーカーを3本の棒グラフで表したものです。下向きの棒グラフはその地区における既存店舗の数、上向きの棒グラフはその地区における車の販売台数を示します。地図上で塗り分けられている緑色は、その地区の輸入車販売台数に占める同社のシェアを表します。緑色の濃い地区ほど高いシェアを確保しています。 一方、図2はある既存店舗の商圏を示しています。こちらも緑の濃い地域ほど、フォルクスワーゲン車のシェアが高くなっています。これを見てドイツから来日した同社の経営幹部はより理解を深めたそうです。これまではある店舗の商圏は特定の範囲に収まっているものと思われていたのですが、予想以上に幅広い地域から顧客が訪れていたからです。 意思決定の確からしさが20%向上地図情報システムの導入は、ディーラー開発部の業務を大きく改革しました。経営幹部や既存の正規代理店に対する出店候補地プレゼンテーションが、スムーズに進むようになったのです。先にも触れましたが、特にドイツ本社の経営幹部からは大変好評を博しました。日本人ではない彼らにとって日本の地理を文字や数字だけで把握するのは難しい部分があります。しかし、このように詳細なデータを添えながらビジュアルに資料を作成すると、非常に理解しやすいのです。既存の正規代理店に対しても、なぜ選んだ地域へ新規出店するかを説明するのに明快な裏付けを示すことができるため、説得力が増したといいます。二橋氏自身、新規出店計画作成にMapInfoを利用して、意思決定の確かさが20%向上したと感じています。「一時は、部内でMapInfoが新規店舗候補地を“お告げ”してくれる神さまのような存在になったこともあります」(二橋氏) 同氏の上司であるAssistant Manager, Network Development Dept., Dealer Development 豊田敏廣氏もこう補足します。 「まだまだ機能を100%を使いこなせているとはいえませんが、これから出店しようとしているエリアがどれだけのポテンシャルを持っているのか、データを数字だけではなくグラフやチャートで目にしながら検討できる点に、大きなメリットを感じています。」 他部門への展開も進行中東京地区から始まった出店検討のための資料作成は、徐々に地域を拡大し、2001年7月、ついに日本全国を網羅するまでになりました。ディーラー開発部ではこれで本格的な活動に入る下準備が整ったと考えており、今後は条件を入力すれば自動的に候補地をリストアップできるような、アプリケーション開発へとシフトしていく予定です。また、ディーラー開発部での成果を見た同社のマーケティング部門、営業部門も新たにMapInfo製品の導入を検討しており、今や同社全体でのアクティビティとして広がっていこうとしています。データベースを実装した電子地図から浮かびあがる“真実”に、可能性を見出すフォルクスワーゲングループジャパン。今後の一挙手一投足が注目されるところです。 フォルクスワーゲングループジャパン株式会社
大興電子通信株式会社
MapInfoパートナー紹介株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ
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