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大阪ガス株式会社“住宅地図から現場が読める”と保安業務に地図情報システムを搭載。その中核エンジンに選ばれたのはMapInfo MapX®。 通報で現場へかけつける保安業務ガスは暮らしのライフラインです。これがなければ、私たちは料理を作ることも、お風呂に入ることもままなりません。そのため、都市ガス会社は、お客さまに対して常に安全に、安定してガスを供給することに全力を注ぎます。大阪ガス株式会社の保安業務もその一つ。「ガスもれ専用ダイヤル」というフリーダイヤル番号を設け、お客さまから通報があれば現場サービスマンが現場へかけつけます。電話受付件数は一日平均400件。といっても、本物のガスもれがある場合はそのうち一件あるかないか。この通報内容には、ガス機器などに関するお問い合わせも多く寄せられています。近年は、異変を察知するとガスを遮断する安全装置が作動するようになっているため、ガスを安全に使用できるようになっているのですが、“変なにおいがする”などお客さまが少しでも不安を感じている状況があれば、とにかく現場へ急行して原因調査にあたります。保安指令センターで活躍する新保安指令システム大阪ガスは、ガスの供給区域を大きく5つに分けています。お客さまからの通報を受け付けるのは、こうした地区ごとに設置された保安指令センターです。ここでは「新保安指令システム」と呼ばれる電話受付業務システムが稼動しており、2台のPCを1セットとしてオペレーションユニットが組まれています。通報者からの電話は、PCの前に座るオペレータの席につながります。オペレータは1台のPCを操作し、通報者の電話番号や住所などから該当する場所を検索。その場所はもう1台のPCのモニターに、住宅地図の形で現れます。この間、約1秒。通報の中には、現場が自宅ではないため詳しい住所が分からないという場合もありますが、“○○病院の前”といった手がかりとなる情報があれば、目的物検索で現場を探し出すこともできます。 地図がPC上に表れると、オペレータはそれを見ながら通報者に現場の確認を取ります。それでまちがいないとなったら、その位置情報を現場サービスマンの車両に搭載されたノートPC上の住宅地図に送信。保安隊員はその位置情報をもとに現場に向かうというわけです。これは順次導入が進められている段階で、最終的には約220台の大阪ガスの保安業務用車両に、位置情報を送受信できるノートPCが搭載される予定です。 新保安指令システムの概要新保安指令システムはUNIXとWindowsNTによるクライアント/サーバ型システムで構成されています。サーバはIBMのUNIXマシン。業務の性格上、1年365日ノンストップ稼動が必須であるため、サーバには厳密なシステム二重化対策が施されています。クライアントはWindowsNT Workstationです。これが2台を1セットとして約10セットを配備。車載のノートPCのOSはWindows95で、クライアント端末とノートPC間の通信を制御するのにWindowsNT Serverが1台設置されています。顧客情報などを格納しているデータベースはOracle8。システムの画面まわりや業務ロジック部分はVisual Basic5.0で開発されました。操作上の大きな特徴はすべてがペンタッチで行えることで、専用のペンを利用してモニター上に手書きメモを添えることもできます。1地区のシステムは以上のようなスタイルで構成されており、これが合計5地区に展開されています。負荷の高かった地図帳での住所検索この新保安指令システムが本稼動したのは2001年1月のこと。それまで導入されていたのは、やはりクライアント/サーバ型システムでしたが、こちらはサーバも、クライアントもUNIXベースでした。以前のシステムの最大の問題点は、すでに8年間も利用していたため、かなり陳腐化が進んでいたことでした。ハードウェアは保守の期限が切れており、故障で部品を取り換えたくても、もう在庫はありませんでした。また、システムのレスポンスがかなり低下していました。モバイルを含めた住宅地図の機能はなかったのです。以前のシステムでは、通報者から住所を告げられると住宅地図帳でオペレータが探していました。それでも住所が正確にわかる場合はまだよかったのです。携帯電話の普及などで通報者が現場の住所を知らない場合も多くなり、電話でやりとりしながら、わずかな手がかりで現場を特定するのは、オペレータにとって負荷の高い作業でした。それは現場サービスマンにとっても同じで、以前はオペレータから住所を無線で告げられると、車内にたくさん積んだ地図帳の中から現場を自分で特定しなければなりませんでした。 システムを更新するにあたって、同社が目指したのは緊急対応力の向上、CS向上などでしたが、 “住宅地図を活用したい”という声も大きな要望のひとつでした。“住宅地図からたくさんのことがわかるからです”と、今回のプロジェクトで陣頭指揮を執った大阪ガス株式会社 中央保安指令部 防災チーム 橋本淳広氏は語ります。 「現場は一戸建てなのか、それともオフィスビルか、地下街か。建造物が大きければ万一の場合に与える影響も大きくなります。住宅地図を見ることによってそこから情報が得られるため、現場サービスマンも状況が予測ができ、どういう対応が必要かあらかじめ考えることができるのです。ですから、システムの中で住宅地図が扱えるというのは、非常に重要なことでした。」 レスポンス、安定性、拡張性でMapX®を選択今回、地図情報システムを実現するにあたって、同社は複数の製品を比較検討しました。チェックしたポイントはレスポンス、安定性、拡張性。レスポンスについて挙がった要件は、“10台のクライアントが一斉にサーバに検索をかけても、1秒前後でレスポンスがかえってくること”というものでした。また、安定性については、“ダウン率が極めて低いこと”、そして“プロプライエタリな仕様が少ないこと”も拡張性の要件として求められました。その結果、選ばれたのがマッピングアプリケーション構築用OCXコントロール MapInfo MapXでした。このプロジェクトのシステムインテグレータである株式会社オージス総研 eビジネス事業部 営業推進部 ソリューション営業チーム 黒田幸嗣氏も、“MapXの採用はごく自然な成り行きでした”と証言しました。現場を特定する作業が格段にスピードアップ新システム導入から5ヶ月。システムを活用される保安指令センターや現場サービスマンにはどのような変化があったのでしょうか。まず、保安指令センターでは、現場の特定が格段に速くなり大変好評なのだそうです。保安隊員にとっても同様です。新システムで地図が表示できるノートPCが登場したため、無線で住所のメモを取り、地図帳で確認するといった面倒な作業はなくなりました。連絡を受けると同時に現場へ向かうことができるようになったのです。 「新保安指令システムは最初の仕様どおりに完成しており、まったく期待どおりに仕上がりました。住宅地図を表示する部分のレスポンスが軽いのが気に入っています。」 と、橋本氏は新システムの満足度についてこのように述べています。 現在、1地区だけ旧システムが残っているのですが、これも近々リプレースされる予定です。“今後はシステムに付加されている多彩な機能を現場に徐々に紹介していきたい”と語る橋本氏。お客さまの生活の安全を陰ながら支えていたのは、MapInfo MapXで開発された先進の地図情報システムでした。 大阪ガス株式会社
MapInfoパートナーの紹介株式会社オージス総研
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